微量栄養素
微量栄養素という言葉はピンとこないかもしれませんが、ビタミンとミネラルのことです。
微量栄養素は、わたし達の身体に必要な絶対量が少ないことから「微量」と呼ばれます。
それに対して、三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)は「多量」栄養素とも呼ばれます。
多量栄養素はグラム単位で表されるのに対して、微量栄養素はミリグラムやさらに小さな単位を使って表されます。
微量栄養素は絶対的な必要量は少ないのですが、必要量をしっかり摂取できていることは重要で、全般的な健康状態、精神状態、空腹感、トレーニングのパフォーマンス、筋肉を増やすポテンシャルといったことに大きく影響します。
ここでは微量栄養素の種類と、毎日の必要量を確保するための食べ物選びについて考えていきます。
ビタミンとミネラル
まずはビタミンとミネラルとはどういうものなのか、ということと、ビタミンとミネラルの中の分類をザッと見ていきます。
ここで個別のビタミンとミネラルを細かく分類することはしませんが、全体像をつかむことで、カロリー摂取量と三大栄養素の割合だけでなく、微量栄養素についても考えてみることが大切だとということが、見えてくるはずです。
そして、わたし達に必要な栄養素を確保するために実際の食生活でできることも後ほどご紹介してきます。
ミネラル
ミネラルとは「元素の周期表」に載っている無機物で、わたし達の食生活で摂るものは必要量が比較的多いものと少ないものとして「多量ミネラル」と「微量ミネラル」に分けられます。
厳密には他にもありますが、ここでは主なものを挙げています。
・多量ミネラル
カルシウム、リン、カリウム、硫黄、ナトリウム、塩素、マグネシウム
・微量ミネラル
鉄、銅、コバルト、マンガン、亜鉛、モリブデン、ヨウ素、セレン
ビタミン
ビタミンは有機物で、身体に吸収されるときのメカニズムによって、「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」という2種類に大きく分けられます。
・水溶性ビタミン
水に溶けるビタミンで、ビタミンB群に分類される8種類と、ビタミンCがあります。
水に溶ける水溶性ビタミンは汗や尿から排泄されます。
・脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンは水に溶けず、脂質の助けをかりて小腸から吸収されます。
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類があります。
順番を入れ替えて「ADEK」→「DAKE」とし、「脂溶性ビタミンは4種類だけ(DAKE)」と覚えましょう(笑)
カラダづくりにを目的とした栄養管理では、各ビタミンの名前や、摂取量が多過ぎたり少な過ぎたりしたときに、どういう問題が起きるのかを細かく覚える必要はありません。
ただ、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンという区別があることを踏まえて、それぞれの摂り方を考えることは大切です。
水溶性ビタミンは水に溶けます。そして、汗や尿を通じて排泄されてしまいます。わたし達の身体には絶えず水分が出入りしているので、水溶性ビタミンを摂り過ぎてしまう可能性は低いです。むしろ不足してしまう可能性があるので、毎日補給することが大切になってきます。
反対に脂溶性ビタミンは、汗や尿を通じて排泄されることは無いので、体内に長くとどまります。長い期間にわたって摂取不足が続くことがなければ、不足する心配は低いでしょう。
微量栄養素はどういうものなのかに関して、知っておくといい基礎知識はここまでです。
次は、毎日の食生活の中で適切な量の微量栄養素を継続的に摂取するにはどうすればいいのかを、一緒に考えていきましょう。
食べ物を取り入れるアプローチ
カラダ作りのための食事管理で、ビタミンやミネラルを摂ることは重要です。
実際の食生活ではビタミンやミネラルの少ない、俗に言う「悪い食べ物」を避けるよりも、ビタミンやミネラルを豊富に含んだ「良い食べ物」を取り入れることの方に意識を向けることが大切になってきます。
ダイエット中や減量中の方は、この「取り入れる意識」を持つことが特に重要です。
ダイエット中は全体での食事量が少なくなります。食べる量が少なくなってくると、そこから得られるビタミンやミネラルの量も当然少なくなってきます。
また、幅広い食べ物を取り入れた食事法でビタミンとミネラルを十分に摂れていそうでも、実際には微量栄養素が足りていないことも多くあります。
フィットネスの世界でも、「良い食べ物」に限定して食べて、「悪い食べ物」を避けるというアプローチが長い間行われてきました。これは重要な栄養素をしっかり摂るためとされてきましたが、実際には食べ物選びの制約が多すぎて、結果ビタミンやミネラルが不足してしまうことにつながりがちになります。
ダイエット中に不足する栄養素
・ビタミンD
・カルシウム
・亜鉛
・マグネシウム
・鉄
これらの栄養素が不足することで、カラダ作りに悪影響が出てしまうこともあります。
例えば、亜鉛が不足すると甲状腺の機能が低下し、カロリーの消費量が大きく落ちてしまうことがあります。
実際に亜鉛のサプリメントを4ヶ月摂ることで基礎代謝が194kcal上がった人と、2ヶ月で基礎代謝が527kcal上がった人がいるという報告があります。
これは、特定の食べ物を避けるアプローチでは問題が起こりうるということの実例です。
他には鉄、鉄は特に女性が不足しがちなミネラルで、食事制限を行っているとさらに不足するリスクは高くなります。
女性バレーボール選手を対象に、鉄のサプリメントを摂る効果を調べた研究では、サプリメントを摂ったグループの方が摂らなかったグループよりも、バーベルを使ったトレーニングでの挙上成績が全体的に良くなるという結果が出ています。
さらに、カルシウムは微量栄養素の中では必要量が比較的多く、不足しがちな栄養素です。
そして皆さんもご存知の通り、カルシウムは乳製品から摂ることができます。日本ではあまり一般に浸透はしていませんが、ギリシャヨーグルトは炭水化物と脂質が少ない乳製品としてダイエット中でも摂りやすい物になります。
カルシウムを乳製品や小魚などからとるのが難しい場合には、カルシウムのサプリメントを考えてみるのも良いかもしれません。
ここまで挙げた注意点は以下の通りです↓
・亜鉛が不足すると、代謝に悪影響が出ることがある。
・鉄が不足すると、筋力に悪影響が出ることがある。
・カルシウムが不足すると、骨の健康に悪影響が出ることがある。
このように微量栄養素に不足があると、健康はもちろん、トレーニングのパフォーマンスやダイエットの進み具合にも悪影響が出る可能性があるということです。また、不足分を補うことが大きな効果を生むこともあります。
バラエティ豊かな食べ物を摂ることで、ある程度は微量栄養素を確保することができます。ただ、ダイエット中は食事量を減らしていくほど、微量栄養素不足を防ぐのは難しくなってきます。
そこで以下のことを実践するのをオススメします。
・乳製品を摂る。
・赤身の肉を摂る
・毎日太陽の光を浴びる(窓越しではなく直接)
赤身の肉とは牛肉に限らず、肉の色で判断してください。肉が赤みがかったり、暗い色になったりするのはミオグロビンという成分によるもので、鉄を含んでいる表れだと思ってください。
ここであげた注意点3つを押さえることで、カルシウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、ビタミンDが不足する心配を減らすことができます。
ダイエット中で、乳製品や赤身の肉を食べない人は、微量栄養素を補うためのサプリメントを考えるのも良いかもしれません。
増量期間のビタミンとミネラル
増量中や、特に食事制限をしていないときには、ビタミンやミネラルが不足する心配はぐっと小さくなります。ただし、ダイエット中には野菜や果物が空腹対策に効くことから摂取量を確保しやすいですが、普段は野菜や果物を十分に摂る意識が薄れがちになるので、そこには注意が必要です。
野菜や果物の摂取量の決め方
一般的に野菜や果物は健康に良いとされています。
その考えを裏付ける材料として、野菜と果物の摂取量と死亡リスクの関係を調べた研究では、一定程度の摂取量までは野菜と果物をたくさん摂っている方がさまざまな死因による死亡リスクが低くなると報告されています。
それでは実際にどのくらいの野菜と果物を食べれば良いかと言うと
・増量期(食事制限無し)1000kcal毎に大きめのコップ1杯×2
・減量期(ダイエット)500kcal毎に大きめのコップ1杯×2
例えば増量期で1日に3000kcal摂る男性であれば、コップ3杯の野菜とコップ3杯の果物になります。
カラダの小さな男性や女性がダイエットするときには、1日の摂取カロリーが1200〜2000kcalになることもあります。そういう場合には少なくとも1日コップ3杯分×2摂るのが良い目安になります。
ただ、カロリー摂取量が少ない場合は、これだけの野菜と果物を摂ろうとすると、炭水化物の必要量を超えてしまう心配がでてきます。その場合には、体積に対してカロリー含有量の小さな食べ物、例えばバナナの代わりに柑橘系やベリー系の果物を選ぶという対策が考えられます。
逆に、カラダの大きな人や運動量がとても多い人は、1日の摂取カロリーが4000〜5000kcalになることもあります。
それだけのカロリーを摂りながら、コップ5杯分の野菜と果物(合計10杯)を食べるのは苦しいかもしれません。
満腹感や膨張感が強くて食べるのが苦痛な場合には、3〜4杯分ずつに減らしても良いでしょう。ただし1日2杯分ずつは最低限の目安としてください。
増量でもダイエットでも、カロリー摂取量の方が優先順位は上になります。微量栄養素を完璧にするあまり、カロリー摂取量が犠牲にならないように気をつけてください。
まとめ
できるだけバラエティ豊かな食べ物を取り入れるようにしましょう!ダイエット中は特にです。
具体的には、たんぱく質、炭水化物、脂質を摂る食品を2〜3種類ずつはレパートリーに入れておき、その上で野菜と果物を積極的に摂るというのが目安になります。
三大栄養素をうまく配分した上でこのように幅広い食べ物から栄養を摂るようにすると、十分なビタミンとミネラルを確保しつつ目標に向かって前進できるはずです。
ただ、バラエティは多ければ多いだけ良いかと言えばそうでもありません。食事は毎日摂るものなので、ある程度の「型」を持つと毎日メニューを考えるのに頭を悩ませる必要が減り、食生活に一貫性を持たせることができます。このことは長いスパンで見たときに目標を達成できるかに大きく関わってきます。
減量中(ダイエット)に微量栄養素不足を防ぐためのサプリメントについてはこちらをご覧ください。
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最後までご覧いただきありがとうございました☆
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